性質について
- ブロックイソシアネートにはブロック剤を外す効果であるのでしょうか、それともウレタン化の触媒なのでしょうか。
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ブロックイソシアネートにも硬化を示す触媒は紹介しておりますが、その作用機構が脱ブロックであるか、ウレタン化であるかは不明です。
- オルガチックスZC-150を有機溶剤に溶解しての使用を検討しています。溶剤系によっては経時で溶液が黄変するものとしないものがあります。この現象はなぜ起こっているのですか。
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黄変は光照射による配位子のπ軌道から金属のd軌道への電子遷移時の吸収波長に関連します。溶剤の種類や含まれる不純物によっても色の変化が生じます。特にケトン基、アミノ基やフェノール類が含まれると強い着色を示すことがあります。
- オルガチックスSICシリーズの塗布膜は油やご飯粒に対する離型性はありますか。
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オルガチックスSICシリーズの塗布膜は、油やご飯粒に対する離型性の発現の可能性がありますが、具体的な離型性能は使用するシリコーン系材料の種類や処方によります。滑り性や離型性の発現メカニズムとしては、膜表面にSi-CH3が配向することで得られます。
- ジルコニウム化合物とチタン化合物の違いは何でしょうか。
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ジルコニウム化合物はチタン化合物に比べて色が薄いことが特徴です。また、加水分解反応性はチタンアルコキシドと比較してジルコニウムアルコキシドの方が高いです。
- オルガチックスSICシリーズを用いて膜を形成させる際、低分子シロキサンが発生する可能性はあるでしょうか。
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低分子シロキサンが発生する可能性はあります。
- オルガチックスSICシリーズの塗布膜は硬いといわれますが、屈曲させて膜は割れないのでしょうか。
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PETフィルムに オルガチックスSICシリーズを塗布・硬化させた場合、屈曲させてもクラックが発生しないことが確認されています。
- オルガチックスSICシリーズの滑り性や離型性が発現するメカニズムを教えて下さい。
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オルガチックスSICシリーズの滑り性や離型性は、膜表面にSi-CH3が表面に配向することで得られます。滑り性は、イソシアナトシランの重縮合反応により得られるSi-O-Siの無機構造が膜を硬化させることで発現します。
- オルガチックスSICシリーズは、フライパンや炊飯器用表面処理剤としてフッ素代替が可能でしょうか。
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オルガチックスSICシリーズを用いて得られた膜は耐熱性がないため、フライパンや炊飯器用の表面処理剤としてのフッ素代替には適していないと考えられます。
- オルガチックスSICシリーズの塗布膜の硬度はどの程度でしょうか。
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オルガチックスSICシリーズの膜は滑り性を有するため、鉛筆硬度試験での測定が困難です。Si-O-Si結合を形成するため、硬い膜が形成されていると考えております。
- フィラーの表面処理において、乾式法や湿式法で加熱乾燥するとアルコキシの架橋を介してフィラー同士がくっつくことはありますか。
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乾式法や湿式法で加熱乾燥すると、アルコキシ基が粒子表面の水酸基と反応して、フィラー同士がくっつくことがあります。湿式法では特に二次凝集が強く生じるため、処理後に解砕する等の追加工程が必要になる場合があります。
- 有機チタン化合物と有機ケイ素化合物の加水分解反応速度について、pHが酸性、塩基性になった時、当該速度は変わりますか。
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チタン化合物の加水分解速度はシリコン化合物より速いですが、pHによって速度が変わります。またTiの場合、生成物の化学構造も異なり、酸性では直鎖状、塩基性では三次元構造になると考えます。
- TC-750は室温硬化型シリコーンの触媒として使用した際、密着性を発現しますか。
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RTVシリコーンシーラント触媒においてチタン化合物はシリコーンに取り込まれることが文献で知られています。TC-750が末端に存在すれば、密着性を発現する可能性があります。
- プライマー塗布後に干渉縞が発生することがありますか。
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プライマー膜は非常に薄いため、干渉縞が発生することはありません。ただし、酸化チタン膜として膜を形成した際には膜厚によって干渉縞が発現することがあります。
- チタンオリゴマーを合成する際にはチタンアルコキシドを使用しないと合成できないのでしょうか。
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チタンアルコキシドを使用しなくても、チタンキレート化合物を出発物質として部分加水分解重縮合反応をコントロールすることでオリゴマーを合成できます。ただし、ジルコニウムアルコキシドやアルミニウムアルコキシドではオリゴマー化は非常に難しいとされています。
- Ti-ORとSi-ORの反応性の違いは何ですか。
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Ti-ORの方がSi-ORよりも水との反応が圧倒的に速いです。Si-ORのオリゴマー化には酸触媒が必要ですが、Ti-ORは触媒がなくても反応が進行します。Ti-ORは高い反応性を持つため、速やかにオリゴマーが形成されます。
- TC-310とTC-400を用いたポリビニルアルコール(PVA)架橋において不溶化率の違いが生ずるのは何故でしょうか。
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TC-310とTC-400の不溶化率の違いは、酸性と塩基性という違いによるものです。TC-400は塩基性が高く、親核攻撃が生じやすいため反応が進みやすく、不溶化率が高いと考えています。一方、TC-310は酸性であり、脱水縮合が主な反応であるため、異なる架橋度を示すと考えています。
- オルガチックスとシリコン化合物との違いはどのようなところにありますか。
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オルガチックス類のチタンアルコキシドとシリコンアルコキシドの主な違いは、アルコキシ基の反応性にあります。同じアルコキシ基を持つ化合物の加水分解における反応速度を例とします。チタンアルコキシドの場合、pH=7における加水分解反応速度は、1×10-3(M-1S-1)です。これに対して、テトラエトキシシランは、5×10-9(M-1S-1)となり、チタンアルコキシドの方が圧倒的にシリコンアルコキシドよりも反応しやすい化合物と言えます。
- ポリビニルアルコール( PVA)に乳酸キレートを添加した際の増粘挙動について教えてください。
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TC-310等の乳酸キレートを5wt%のPVA水溶液に添加した際の粘度変化は小さいですが、添加量によっては増粘が見られます。適切な添加量を見極めることで、ご希望の粘度特性を得ることが可能です。
- オルガチックスで架橋された樹脂に熱を与えた場合の加水分解性はありますか。
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オルガチックスで架橋反応された樹脂は、逆反応が生じることは少ないと考えられます。例えば、PVAを架橋した場合、80℃の熱水で30分間処理しても架橋物は溶解しないため、逆反応は無いと考えます。
- オルガチックスは無水カルボン酸と反応しますか。
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無水カルボン酸は空気中の水分と反応してカルボン酸基を発現した上で架橋反応が生じます。ただし、カルボン酸基は水酸基に比べて架橋反応性が低いため、100~120℃程度の加熱が必要です。
- イソシアネート化合物とオルガチックスの架橋剤としての違いは何ですか。
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イソシアネート化合物に比べて、オルガチックスは安全性が高いです。イソシアネート化合物を使用してウレタン化する場合、触媒が必要ですが、オルガチックスは無触媒で反応が進行します。また、オルガチックスは低温での反応が可能であり、環境負荷を低減することができます。
- TA-30に比べてTA-8やTA-21の方が触媒活性が高いのでしょうか。
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TA-8やTA-21は、水との反応性が高いことから触媒として高い活性を持つと思われますが、触媒活性が高いとは言い切れません。例えばウレタン化触媒として使用する際、ポリオールと反応して架橋構造を形成すると触媒活性を失う可能性がありますので、水(水酸基)に対して他のアルコキシドよりも安定なTA-30の方が触媒活性として良好な場合があります。
- 錫化合物であるDBTDL(ジブチル錫ジラウレート)をウレタン化触媒として使用した場合、DBTDLは構造変化をせずに系内に残存しますが、オルガチックスはアルコール交換反応などによって構造変化するのでしょうか。
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ウレタン化反応の原料であるポリオールとのアルコール交換反応が生じ、構造は変化すると考えています。最終的には架橋構造としてポリマー内に取り込まれると推定しています。
- オルガチックスを触媒として使用した際、RTVシリコーンシーラントの場合は、オルガチックスが主鎖に取り込まれて架橋構造を形成していると文献に記載がありますが、ウレタン化反応触媒として使用した際はどうでしょうか。
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ウレタン反応の触媒として使用した場合もRTVシリコーンシーラントと同様に、触媒として作用した後、最終的にはポリマー内に取り込まれて反応が止まると推定しております。
- 水系塗料において、シラノールの架橋を促進したいのですが、水系でも使用可能な触媒はありますでしょうか。
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水系シリコーンエマルションの硬化触媒として、TC-400とTC-310を用いて検討した事例があります。TC-は皮膜を形成するもののポットライフが短く、TC-400は硬化しませんでした。これらは水系組成物に配合可能ですが、条件により異なる結果が得られる可能性があります。
- 中間体Ti(OH)は不安定そうですが、途中で失活しないのでしょうか。
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周辺の環境にもよりますが、Ti-OHは安定ではなく、ポリチタノキサン化するか、架橋構造として取り込まれると考えられます。
- AL-3100等は配位構造の全てがキレート配位子で占められているため、単純な加熱による反応促進だけでなく、触媒の配位子脱離等の構造変化が活性に影響しているのではないかと考えますがいかがでしょうか。
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加熱するとキレートが外れ、配位場が現れるため触媒作用が発現します。アセチルアセトンキレートでは、加熱で配位が外れ、触媒作用が発現する仕組みと考えております。
- チタンアルコキシドと比較して、チタンキレート化合物は触媒性能が低下する傾向にありますが、チタン原子に対してキレートを形成するような化合物を触媒とともに使用すると、その触媒性能は低下しますか。
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例えば、アルコキシド化合物のように、配位場が空いている化合物を用いた場合、中心金属に対してキレートを形成するような官能基を持つ化合物を使用した場合、配位場が埋まるため触媒性能が低下する可能性があります。
- RTVシリコーンの硬化触媒にアルミニウム化合物を用いた場合、その触媒効果はどの程度でしょうか。
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AL-3200等のアルミニウム化合物を硬化触媒として使用した際、その触媒効果が低いとのフィードバックを得たことがあります。シリコーンレジンを用いた社内実験例では、加熱硬化においてアルミキレートは触媒性能を発揮した例があります。
- シリコーンレジンの硬化において硬化速度はTA-80が速く、鉛筆硬度がTC-750が高いようです。この理由を教えてください。
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TA-80とTC-750の違いはアルコキシドとキレートの違い、アルコキシ基の官能基数の違いがあります。硬化速度においては、配位場が空いているアルコキシドの方が速いため、TA-が速くなります。シリコーンレジンの硬化においては、最終的にこれらチタン化合物が架橋剤として働くと考えられ、官能基数が多いTA-80は反応によって硬くもろくなります。一方、TC-750は柔軟な架橋状態を形成するため鉛筆硬度に差が生じたと考えられます。
- チタンアルコキシドなどをシリコーン硬化触媒として使用した際に、常温でシリコーンがゲル化してしまうことはありますか。
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反応進行が解放系など、水が供給される条件下では常温でゲル化することがあります。環境雰囲気中の水と反応するため、密閉系で反応させればゲル化しません。
- TA-8は空気中の水分と反応して失活しやすいイメージがありますが、同等の触媒効果で失活しにくい製品があれば教えてください。
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TA-8よりも失活しにくい化合物として、TA-21やTA-30があります。ただし、アルコキシ基の炭素数が多くなるとその活性は低くなる可能性があります。
- チタン化合物を触媒として利用すると着色が起こるため、着色を避ける場合にはジルコニウム化合物を紹介していますが、逆にチタン化合物を使用したほうがいいケースはありますか。
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ジルコニウム化合物に比べて価格が安いため、価格を重視する際はチタン化合物を選択いただくことが一例としてあげられます。触媒性能においても、例えばエステル化反応においてチタン化合物の方が活性が高い事例が報告されている場合があります。
- 架橋剤として、TA-21を使用していますが、溶剤で溶解した際に濁りが発生します。改善方法を教えてください。
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親水性・吸湿性が高溶剤を使用した場合、加水分解による濁りが発生する可能性があります。もし、加水分解による濁りを気にする場合は、キレート化合物の使用を推奨します。
- 各製品の加水分解反応性の違いについて教えてください。
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弊社製品には加水分解反応性があり、空気中の湿気でも反応が進行します。
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加水分解反応性は、金属種や配位子の種類によって異なります。 - 製品の性能、性質について詳細説明をしてもらうことはできますか?
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ご希望の場合は、商品説明会(訪問、オンラインどちらでも可)を行うことが可能です。『お問い合わせフォーム』より、ご興味のある内容・詳しく知りたい箇所等をご記入の上ご依頼ください。
- 反応触媒・架橋剤等の推奨添加量はどのくらいでしょうか。
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各反応や用途によって推奨添加量が異なります。詳細は、『資料ダウンロード』ページより該当する製品の技術資料をダウンロードしてください。
- 各種溶剤への溶解性を教えてください。
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当HPの『製品紹介』ページにて溶解性をご確認頂けます。
オルガチックスTA-8、ZA-65については動画がございます。以下ご参照ください。
... - チタンオリゴマー系コーティング剤のプライマーとしての効果について教えてください。
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チタンオリゴマー系コーティング剤(PCシリーズ)をプライマーとして使用することで、基材と難接着樹脂層との密着性が向上します。
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以下の動画をご参照ください。 - 水溶性有機チタン化合物のPVAへの架橋効果について教えてください。
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(1)弊社の水溶性有機チタン化合物で架橋したPVAは、耐水性が向上します。以下の動画(PVA不溶化)をご参照ください。
... - オルガチックスSIシリーズを使用してウレタン化反応をさせたいのですが?
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SIシリーズはイソシアネート化合物ですが、ウレタン化結合は形成しないためウレタン化反応には使用できません。
本品はSi-N結合が開裂しSi-OR結合を生成する反応となります。ご使用方法の詳細は『資料ダウンロード』ページより技術資料「オルガチックスSIシリーズ」をダウンロードしてください。なお、SIシリーズは有償サンプル(20g/本)となります。
- 有機チタンに光触媒活性はありますか?
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いいえ。有機チタン化合物そのものに光触媒活性はございません。弊社の製品を400〜600℃に焼成し、アナターゼ型酸化チタンを生成させれば光触媒活性を得ることが可能です
- 有機チタンを塗布、乾燥し皮膜を作りましたが膜が白化しています。透明な膜を得るにはどうしたら良いでしょうか。
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有機チタンで皮膜を作る場合、アルコキシド・キレート化合物そのままを塗布・乾燥すると反応性が高すぎるため膜形成できず白化または凝集します。
... - 製品に色がつきました。原因はなんですか?
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有機チタン化合物は、着色しやすい性質を持ちます。主な原因として、以下の3点がございます。
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