Technical

2021年10月07日

研究G技術通信

技術通信 No.3 「オルガチックスAL-3200の密着性向上(プライマー)効果]

MFC技術通信は、当社の日々の実験・考察から得られた、ちょっとした発見や新しい利用方法の可能性について、皆様に発信していくものです。

 金属やフィルムなどの基材表面に機能性を付与する目的で様々なものを塗工することがあります。ただ、塗材(オーバーコート層)の種類によっては基材と密着せずに容易に剥離してしまった経験はないでしょうか。このようなときに、オーバーコート層を密着させる目的でプライマー層を設けることがあります。オルガチックスシリーズは、このプライマー層としても利用することができ、基材・オーバーコート層に官能基(水酸基等)が存在する場合、これらと反応して “化学結合” による力で基材とオーバーコート層をしっかりとつなぎとめる役割をします。今回はオルガチックスシリーズの内、アルミニウム化合物の「オルガチックスAL-3200」(以下 AL-3200)を使用したプライマー層の効果について紹介します。

1. 平滑性付与   

 プライマー層がオーバーコート層をしっかりつなぎとめるためには、「基材へ平滑性を与えること」が必要と言われています。図1のように AL-3200を塗布・硬化した膜の外観を観察すると、クラック等の無い平滑な膜が形成されていることがわかります。

<図1 オルガチックスAL-3200を用いた硬化膜>

        <塗布条件>
           塗布液及び塗布方法:3wt%AL-3200トルエン溶液、スピンコート(1,000rpm×5sec
           焼成条件:120℃×5min乾燥後、400~500℃×5min焼成

2. 化学結合

  AL-3200に限らずオルガチックスシリーズは、基材とオーバーコート層を“化学結合”でつなぎとめることを特長としています。図2AL-3200の化学構 造、図3AL-3200と基材・オーバーコート層との化学結合の模式図を示します。

<図2 オルガチックスAL-3200の化学構造>

<図3  AL-3200と基材・オーバーコート層との化学結合(模式図)>

2. 親和性

  皆様も過去に「同種の物質同士は密着しやすかった」といったことを、ご経験したことがあると思います。これは “親和性による効果と考えられます。そこで「アルミニウム化合物であるAL-3200もアルミニウム基材との親和性が得られるのでは」と考え、AL-3200とオルガチックスTC-245を アルミニウム板に成膜して密着性を比較してみました。オルガチックスTC-245はチタン化合物でありAL-3200とは配位子も異なりますが、プライマー層として用いられることのある製品です。

<表1 オルガチックスAL-3200のアルミニウム板との密着>

         <塗布条件>
          基材:アルミニウム板(A1050P
          塗布液:3wt%AL-3200トルエン溶液、3wt%TC-245 2-プロパノール溶液
          塗布、焼成条件:スピンコート(1,000rpm×5sec
          焼成条件:120℃×5min乾燥後、400~500℃×5min焼成

  1のようにAL-3200の方がTC-245よりアルミニウム板に対して密着しており、“同種の物質同士の親和性”がうかがえる結果となりました。

   このように、アルミニウム板とオーバーコート層の密着でお困りの方がおりましたら、一度お試しいただけると幸いです。

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