お問い合わせ
有機チタン、有機ジルコニウム、その他有機金属化合物に関するご要望、製品に関するご質問や、
資料・サンプル請求をされる場合、また受託加工のご相談やお困りのこと等がございましたら
お気軽にお問い合わせください。
マツモトファインケミカル(株)営業部
TEL 047-393-6330
FAX 047-393-1063
カテゴリ
アーカイブ
2025年04月09日
第二期として開催したマツモトファインケミカル技術セミナーの総集編として、内容を抜粋してその概要について述べていきたいと思います。
2022年9月から開始した当社製品の有機金属化合物 オルガチックスに関する技術や用途をご紹介する無料セミナーです。1回あたり約20分間と短時間のセミナーとし、仕事の合間に気軽に聴講できる長さをコンセプトに開催しています。
これまで2024年4月から現在8回開催しました。
当社が製造販売する有機チタン、有機ジルコニウム、有機アルミニウムの各化合物は、アルコキシドやキレート等の化学構造となっています。これら化合物は、アルコール交換反応によって反応が進みます。その反応性は、アルコキシド>キレートの順となります。また、これら化合物の色に着目すると、金属種においては、チタンが最も着色しやすく、ジルコニウムやアルミニウムは着色しにくい性質があります。この着色は、キレート化合物で主に認められます。キレートの種類によって発色の強さが異なり、共役構造を持つアセチルアセトンのキレートが最も着色しやすい化合物となります。そのため、添加剤として使用した場合の色が問題になる場合は、有機ジルコニウムや有機アルミニウム化合物の選択を推奨します。
チタンアルコキシド化合物は、空気中の水と反応してTi-O-Ti結合を作るとともに、表面にTi-OHが存在するため、プライマーとしての利用が考えられます。しかしながら、チタンアルコキシドは反応が速い化合物であるため、塗布するとマイクロクラックが発生する等、成膜が難しい化合物です。この反応性と成膜性を両立させる化合物の一つとして、チタンアルコキシドオリゴマーがあります。この化合物は、チタンのアルコキシ基が基材表面の吸着水や水酸基と反応して密着するとともに、Ti-O-Ti結合の形成による良好な成膜性を有します。当該加工物の表面にはTi-OHが存在するため、プライマー層の上に塗布する樹脂と相互作用することで密着性が発現します。また、樹脂と反応しやすい官能基とTi-ORと反応する水酸基等の官能基を持つ機能化剤を併用することで、更に上層との密着性を高めることが可能です。当社では本製品をオルガチックスPCシリーズとして販売しております。
有機金属化合物 オルガチックスの代表例である有機チタンや有機ジルコニウム化合物は、樹脂中の水酸基やカルボキシル基と反応します。塗料やインキ等は、樹脂、顔料等を溶剤で溶解させており、これらの樹脂や顔料と有機金属化合物が脱アルコール反応を起こすことによって、架橋構造(樹脂-O-Ti-O-樹脂)を形成することができます。架橋構造を形成することで、耐熱性、耐溶剤性が向上する他、基材上の水酸基との反応により密着性も向上します。
有機金属化合物は、水や水酸基と反応しやすい化学構造を有している場合が多く、水系溶媒中で反応することは難しいと考えられます。ただし有機金属化合物の中には、キレート種によって水に溶解するものもあり、これらは水系でも使用することができます。当社では、水系架橋剤として乳酸やアルカノールアミンのチタンキレート(乳酸キレート:TC-310、TC-300、TC-335、TC-315 アルカノールアミンキレート:TC-400、TC-500、TC-510)を販売しています。これらは、水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと反応することによって、耐水性を発現させることができます。その他、成膜時に150℃×30分と高温、かつ長時間の加熱が必要になりますが、エマルションの種類によっては密着性が発現する化合物もあることをご紹介いたしました。
ゾルゲル法についてケイ素アルコキシドと水による加水分解重縮合反応を例に紹介しました。ケイ素アルコキシドの場合、触媒として酸、または塩基を使用します。この触媒の種類によって得られる化学構造が異なり、酸を使用した場合、直鎖状のオリゴマー、またはポリマーが得られ、塩基を使用した場合、3次元構造体が得られます。チタンアルコキシドはケイ素アルコキシドと比較して加水分解反応速度が106以上大きいことから触媒を必要としません。チタンアルコキシドをオリゴマー化させるためには、反応時の濃度、温度等をコントロールする必要があります。
チタンアルコキシドはゾルゲル法によってオリゴマー化することが可能であり、チタンアルコキシドモノマーと比較して高い成膜性、基材との密着性を発現します。また、チタンアルコキシドオリゴマーは、空気中の水と反応してアルコールを放出するとともにTi-O-Ti結合の膜を形成できることから、酸化チタンの一つの特長である高屈折率特性を基材に付与することができます。当社製品のチタンアルコキシドオリゴマーでは、140℃の加熱にて(水)酸化チタン膜を形成することができるため、1.8以上の高屈折率膜を形成可能です。また、有機チタンや有機ジルコニウム化合物を使用したゾルゲル法は、耐アルカリ性を有するガラス、強誘電体材料、金属ガラスファイバー等の製造に適用することができます。
有機チタン、ジルコニウム、アルミニウム化合物はルイス酸触媒として機能します。エステル化反応においては、アルコール交換反応とともに、金属へカルボン酸が配位して活性な中間体を形成することによって進行します。また、エステル交換反応においては、エステル基のカルボニル基が金属へ配位することによって活性状態を形成することで進行します。 これらの反応性は、中心金属のルイス酸の強さによって異なると考えられますが、触媒活性は、アルミニウム化合物よりもチタン化合物の方が高い場合があり、ルイス酸の強さ=高い触媒反応とは言いきれません。そのため、触媒を選択する際はルイス酸の強度は参考として、金属に結合している化合物の構造等を判断材料に入れることが必要と考えられます。
ウレタン化触媒に使用される有機金属化合物としては、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)が用いられています。しかしながら、DBTDLは、環境ホルモンであるトリブチルスズを微量含むため、ロッテルダム条約等でその使用が規制されています。この代替として有機チタンや有機ジルコニウム化合物が注目を浴びています。有機チタンや有機ジルコニウム化合物は、ウレタン化触媒として機能しますが、DBTDLのようにポリオールとイソシアネートの種類を選ばず反応が進むわけではありません。ポリオールとイソシアネートの組み合わせによって効果を発揮する有機金属化合物が異なるため、いくつかの種類を試行する必要があります。また、ブロックイソシアネートの硬化においても、当社製品の有機金属化合物 オルガチックスで触媒効果を示すものがあります。
今回はこれまでに行いました第二期マツモトファインケミカル技術セミナーの総集編として概要を述べました。今回の総集編では内容のすべてをご紹介できませんでしたが、技術セミナーのアーカイブを順次作成し、詳しい内容をご紹介させて頂こうと考えております。今後も技術セミナーを続け、貴社の技術的課題解決の一助になるような技術情報を発信する予定ですので、ご興味のある方は是非ご参加いただければ幸いです。
有機チタン、有機ジルコニウム、その他有機金属化合物に関するご要望、製品に関するご質問や、
資料・サンプル請求をされる場合、また受託加工のご相談やお困りのこと等がございましたら
お気軽にお問い合わせください。
マツモトファインケミカル(株)営業部
TEL 047-393-6330
FAX 047-393-1063