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2026年01月21日
現在、世界的に燃料としてのバイオエタノールの使用が進んでいます。日本においては、ETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)が使用されていますが、原料のイソブテンの入手が難しくなっています。このような背景を踏まえ、ETBEの代替として、10%のバイオエタノールをガソリンに混合した燃料(以下、E10)の2030年本格導入に向けた検討が進められています。今回のテクニカルコラムでは、バイオエタノール使用に伴う技術的な問題点とそれに対する解決の方向性について考察した内容を紹介します。
バイオエタノールは、主にサトウキビやトウモロコシ等の植物資源を原料として製造されるエタノールです。再生可能なバイオマスを原料とすることから、ライフサイクル全体として二酸化炭素の排出量を低減できる燃料として使用されています。図1で示すように、バイオエタノールの生産国としては、ブラジルや米国が中心であり、これらの国では燃料用途に大規模な供給体制が構築されています。また、欧州においても穀物を原料としたバイオエタノールが生産されており、ガソリンへの混合燃料として利用されています。
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参考:https://afdc.energy.gov/data
<図1. 各国のバイオエタノールの生産量>
日本においては、バイオエタノール生産について木材を原料としたバイオエタノールの製造や、古紙を原料としたバイオエタノール製造等に関する技術開発が進められています。しかしながら、これらの検討は開発段階にあるため、現状では燃料用途に使用されるバイオエタノールの多くを海外から輸入しています。
E10に使用するバイオエタノールは、非極性成分を主とするガソリンと比較して、極性が高い化学物質です。バイオエタノールは、吸湿性が高く、空気中の水分を取りこみやすい性質を持っています。この極性の高さによって燃料タンクや配管等を構成するゴムや樹脂に対する浸潤や当該材料に含まれる可塑剤等の低分子成分の溶出が生じ、材料特性が低下する可能性があります。さらに、水分の混入は前出の材料劣化促進につながることに加え、貯蔵や輸送課程におけるガソリンとの相分離や、タンクの腐食を引き起こすリスクがあります。以上のことから、バイオエタノールを燃料として使用する際、水分の混入が重大な技術課題の一つとなっています。
当社有機金属化合物製品(以下、オルガチックス)であるチタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドは、図2で示すように水により速やかに加水分解して、(水)酸化金属とアルコールを生成します。この加水分解反応を使用することで、バイオエタノール中の水分を化学反応によって捕集、低減させる方法が考えられます。
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<図2. オルガチックスの加水分解反応>
例えば、バイオエタノール中に2-プロパノールが残存しても問題がない場合、オルガチックスTA-8のようなチタンテトライソプロポキシド(Ti(OiPr)4)が一つの選択肢として考えられます。副生成物がエタノールである必要がある場合は、チタンテトラエトキシドを使用する方法が候補となります。ただし、バイオエタノール中にこれらのチタンアルコキシドを単純に添加した場合、無機物である(水)酸化チタンも生成されるため、E10への固形物混入といった課題が生ずる可能性があります。そのため、無機粒子等にオルガチックスを吸着させてケーキ層を形成し、バイオエタノールやE10を通液させることで、当該固形物生成無しに水分を取り除く方法も一つの技術的課題解決手段として考えられます。
E10の導入は、カーボンニュートラルの観点から避けられない流れと考えられます。一方で、E10に含まれるバイオエタノールへの水分混入は、製造工程から使用環境といった一連の流れで複数の原因が考えられ、一括での対応が難しいと考えます。このような背景の中で、製造工程や使用段階におけるオルガチックス使用による、脱水を伴う化学反応を組み合わることは、E10の品質安定と使用時の問題発生抑制において一つの方向性を示すものと考えます。今後のE10の本格導入においては、燃料技術だけでなく、それを支える材料をはじめとした化学技術の役割を含めた総合的な議論が重要になると考えられます。
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