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2023年06月28日

テクニカルコラム

テクニカルコラムNo.8 PFAS(ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質)代替としてのオルガチックスの可能性

テクニカルコラムNo.8では、PFAS(ペルフルオロアルキル、およびポリフルオロアルキル物質物)代替としてのオルガチックスの可能性についてご紹介いたします。

本記事に関するサンプルのご用命、ご質問等は以下のページからご相談ください。

Ⅰ. PFASとは

PFASとは、ペルフルオロアルキル、およびポリフルオロアルキル物質の総称です。この物質は、耐薬品性、撥水・撥油性、潤滑性、電気絶縁性の特性を発現できるためフライパンや防水服、食品の包み紙等の身近な日用品から泡消火器や半導体、自動車の部品等、幅広く利用されております。

Ⅱ. PFASに関する規制

幅広い産業分野で使用されてきましたPFASですが、一部の種類は自然に分解されず、生物に取り込まれて体内に蓄積しやすいことが分かってきました。PFASの中でもPFOS(ペンタフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペンタフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペンタフルオロヘキサン酸)は撥水・撥油性があり、熱に対して安定なため、コーティング剤として使用されてきました。しかしながら、これら化合物は国際条約で製造・使用・輸入が禁止されており、日本を含む180か国と地域が批准しています。
現在、欧州では、10,000種類以上のPFASの製造・上市・使用(輸入を含む)を制限する規制案が提出されており、PFASに関する規制は、今後更に強まることが考えられます。

Ⅲ. PFASの代替となる物質はあるのか

欧州化学物質庁(ECHA)資料によると一例ではあるものの、PFASの代替としては以下ような物質が各社で製品化されています。

<表1. PFAS代替製品例>

企業名 製品名 代替物質 業界、用途
DuPont  Sorona®  ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)ポリマー  カーペット、アパレル
NICCA CHEMICAL
CO.,LTD.
 NEOSEED
NR-90
 非イオン性ポリマー、エステル化合物
(パラフィン類)
 衣類、衣類以外の繊維(ポリエステル、ナイロン、綿、全ての布)
Wacker  HC303  アミノ機能性PDMS
(シリコーン)
 繊維
Bluestar Silicones  RHODORSIL
TCS 7001
 アルキルポリシロキサン
(シリコーン)
 アウトドア生地、天然及び合成繊維、生地や皮の保護用エアロゾール
HeiQ  BanierECO  疎水性の超分岐ポリマー(デンドリマー)  アウトドア衣料(ジャケット、ハイキング用ズボン、フリース、靴)
Rudolf Chemie Ltd.  ®RUCO-DRY ECO  ハイパーブランチ及び直鎖ポリマー
(デンドリマー)
 撥水材
Freudenberq Group  Purtex® WR,等  ポリウレタンエマルジョン  アウトドア/スポーツ衣料(撥水、摩擦保護)
Stahl Polymers  Relca PD-804等  マットポリエーテルポリウレタンの水性アニオン分散液  繊維又は包装用のトップコート

代替品の開発品は進められているものの、性能を満足するものは少ないとの声がございます。現在もなお、PFAS代替製品を各企業で検討が進められています。

Ⅳ. 当社製品のオルガチックスでPFASを代替できる用途・製品はないか

当社製品のオルガチックスには、有機チタンや有機ジルコニウム等の有機金属化合物の他に、「シリルイソシアネート化合物」を硬化剤としたコーティング剤「オルガチックスSICシリーズ」があります。
シリルイソシアネート化合物(Si-NCO)は、基材上の水酸基やシリコーンオイルに存在する水酸基と反応して高い密着性を有する膜を形成できます。また、本製品をプラスチック、ガラス、金属等の基材にコーティングすることで、離型性、滑り性等の機能を付与することができます。
PFASの適用機能には、上述の撥水、離型、滑り性付与が主となる場合があります。このような性能を必要とする場合、当社製品のシリルイソシアネート化合物を用いた「オルガチックスSIC」が適用できるのではないかと考えております。
以下にオルガチックスSICのの硬化機構と性能を示します。

<図1. オルガチックスSICの硬化機構>

<表2. オルガチックスSICシリーズの性能>

製品名

剥離力

(mN/25mm)

残留接着率(%) 水との接触角(°) 動摩擦係数

オルガチックス

SIC-330

50 70~80 95 0.02

オルガチックス

SIC-434

100 90以上 95 0.02

表2. オルガチックスSICシリーズの性能

Ⅴ. 最後に

PFASはその多様な機能から様々な産業分野に使用されているものの、国内外の規制が進む現状を考えると、今後代替化合物の検討を進める必要性が高いと考えております。当社製品のオルガチックスSICはシリコーン系であることから、低分子シリコーンの揮発が問題となる電子部品関連等には使用が難しい等、代替化合物としては課題があると考えております。当社ではこのようなシリコーン系にこだわらず、他材料を用いたコーティング剤の開発を進めたいと考えています。
PFASの代替品をご検討されている方、またこれからご検討される方でご興味があれば是非当社にお問い合わせいただければ幸いです。

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