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2022年08月19日
テクニカルコラムNo.3では、オルガチックスを用いた原子層堆積法(ALD、Atomic Layer Deposition)による膜形成の可能性についてご紹介します。
”原子層堆積法”は、化学気層成長法(CVD、Chemical Vapor Deposion)の一種と言われていますが、原子レベルで一層ずつの薄膜を形成できる製膜方法です。
昨今の半導体回路は、非常に細かいパターンが形成されています。
このパターンは、幅が狭く、深さがある高アスペクト比を要求されており、パターン倒れ防止のため、薄膜の金属酸化物を形成技術が注目されています。
原子層堆積法では、以下図1で示す工程により製膜されます。
工程1. 有機金属化合物等の原料をガス化した物質(プレカーサ―)を投入
工程2. 表面と反応しなかったガスを除去(パージ)
工程3. 原料と反応するガス(水など)を投入
工程4. 原料と反応しなかった水等のガスを除去(パージ)
この方法により、最も薄い膜は1原子の層が形成されます。膜厚が必要な場合、工程1から工程4を繰り返すことによって、任意の膜厚が得られます。
なお、 原子層堆積法(ALD、Atomic Layer Deposition)については、以下に示す文献に詳細が記載されています。
Ville Miikkulainen, Markku Leskelä, Mikko Ritala, et al. (2013)J. Appl. Phys. 113, 021301
ALD用原料として使用するためには、加熱等によってガス化することが重要です。本点を踏まえながら、留意点と当社製品である有機金属化合物”オルガチックス”の適用について考えてみたいと思います。
ガス化可能な原料で且つ反応性がある金属化合物としては、塩化物等があげられます。ただし、塩化物等は、反応時に副生成物の塩酸ガス等の酸性ガスが発生するため、装置や配管の腐食などが懸念されます。
ガス化が可能であり、且つ反応時に腐食性の無い物質が発生する化合物としては、”金属アルコキシド”があげられます。当社オルガチックス類としては、”チタンアルコキシド化合物”が相当し、基材表面や水との反応した際、アルコールが副生成物として生成されます。
ケイ素化合物としては、塩化ケイ素やケイ素アルコキシドを原料として使用されることがあります。このケイ素アルコキシドは、水との反応性が低いため成膜に時間を要します。
当社のオルガチックスの種類には、ガス化が可能な製品として塩化ケイ素とケイ素アルコキシドの中間程度の反応性を持つ”シリルイソシアナト”化合物があり、ALDによる成膜材料として使用可能と考えられます。
尚、シリルイソシアナト化合物が反応した際に副生成物として発生するHNCOは、加水分解によって二酸化炭素とアンモニアに分解されます。
以下の表1.に、ALDに対して適用可能と考えられる当社製品をご紹介いたします。
製膜される膜の種類 | 副生成物のガス | 当社製品名 | |
チタンアルコキシド化合物 | 酸化チタン膜 | アルコール類 | TA-8,TA-80 |
シリルイソシアナト化合物 | 酸化ケイ素膜 | アンモニア、二酸化炭素 | SI-310、SI-400 |
原子層堆積法(ALD、Atomic Layer Deposition)による金属酸化物膜の形成における有機金属化合物”オルガチックス”の使用可能性についてご紹介しました。薄膜の酸化チタンや酸化ケイ素を形成できる可能性がございます。
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